きゃしゃな体からあふれるエネルギー。ときにしなやかにときに異彩を放ち、俳優として地道に活躍の幅を広げてきた趣里さん。現在放映中のNHK連続テレビ小説「ブギウギ」のヒロインでおなじみとなった。11月公開の塚本晋也監督の新作「ほかげ」では、戦争で多くを失い、絶望の中で生きていく1人の女を繊細に表現した。
劇場映画デビュー作「鉄男」(1989年)が話題を呼び、塚本監督はベネチア国際映画祭を中心に国際映画祭の常連となった。作家・大岡昇平原作の「野火」(2014年)など近年は戦争と人間をテーマの一つに据え、現状への危機感を訴えている。「ほかげ」は闇市のイメージから、戦争を生き延びた人々を苦しめる痛みと闇を描き、今年のベネチア国際映画祭で、斬新な作品を集めたオリゾンティ部門に選出された。役者としての感性を見込んだ塚本監督からのオファーで、主役を務めた趣里さんに話を聞いた。
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映画「ほかげ」で演じたのは役名のない「女」。終戦後、半分は焼けた小さな居酒屋に1人で暮らし、絶望感の中で体を売って生きている。戦争孤児と復員間もない若い兵士が、「女」の家に居着いてしまうことから物...