4月に施行された「こども基本法」で、国や自治体は子どもの声を政策に反映する仕組みを作るよう義務付けられた。子どもの意見表明権をどう担保するかという議論は、今や世界で重要なトピックの一つになっている。日本でもこのような動きが出てきたことに感動すると同時に、実際に声を聞く難しさも痛感している。
そうした中、茨城県行方(なめがた)市では市長と小学生が一緒に給食を食べる「ランチトーク」が早くから行われてきた。今回は、若者の声を聞く同市のユニークな取り組みを紹介したい(取材は今年2月13日)。
▽素直な気持ちを聞く場
「同じものを食べることが大事ですよ」。子どもたちと同じ学校給食を市長室で口に運びながら教えてくれたのは、行方市長の鈴木周也さんだ。この日のメニューは、ご飯、牛乳、鳥の照り焼き、切干大根の中華炒め、イワシのつみれ汁、いよかんゼリー。2016年度にランチトークを始めた理由をこう話した。
「教室に行って授業のような雰囲気だと、どうしても子どもたちが緊張してしまう。それならご飯を食べた後にリラックスした中で会話すれば、素直な気持ちが一番出るのかと思ったんですよ」。地域の未来を作っていく子...