先週の外国為替市場で円高ドル安が加速し、7日の米ニューヨーク市場では一時、約4カ月ぶりとなる1ドル=141円台に突入しました。一般的に、対ドルの円相場は日米の金利水準の差によって変動し、米金利の上下に大きく左右される局面が多いのですが、今回は米金利が大きく下がったわけではありません。このため、今回はドル安というよりも円高の要素が強いことになります。
背景には、日銀が12月18、19日に開く金融政策決定会合で大規模金融緩和策を修正するとの観測が強まったことがあります。欧米では景気減速などで長期金利の低下圧力が強い中、日本の長期金利は逆に上昇して金利差が縮小し、円はドル以外の通貨に対しても全面高の展開となりました。
金融政策の修正観測が急速に広がった理由は、日銀執行部の発言でした。きっかけは、氷見野良三副総裁が6日の講演で、短期金利をマイナス0.1%に抑えるマイナス金利政策を解除した場合の影響について、詳しく言及したことです。加えて、植田和男総裁が翌7日の国会答弁で「年末から来年にかけて一段とチャレンジングな状況になる」と発言し、同日に岸田文雄首相とも面会しました。
こうした一連の流れが...