米子市淀江町の温泉施設「白鳳の里」で取り組まれている陸上養殖のトラフグを施設内のレストランで提供することになり、初出荷と試食会が16日、現地で行われた。温泉施設の温泉水と大山山麓の湧き水を使って水温調整し、「大山名水とらふぐ」の名称で売り込む。現在は実証試験の段階で数年後の安定生産、出荷を目指す。
トラフグの陸上養殖は地域活性化コンサルティングの一般社団法人「G・B」が同施設内にある閉鎖中の物産館の一部を使い取り組んでいる。元鳥取県水産試験場長の増田紳哉さん(72)が中心となり、昨年秋から水槽3基で幼魚約500匹、重さ800グラム前後の未成魚約200匹を育ててきた。
施設の温泉水と年間を通じて15度前後の湧き水を利用することで、生育に適した温度帯を維持し、光熱費を抑え「化石燃料に頼らない持続可能な養殖(増田さん)」を目指す。
17日から温泉施設内のレストランが新メニューに加えるのを前に、重さ1・1キロ程度に育ったトラフグ15匹を初めて出荷。伊木隆司米子市長ら関係者を招き、試食会が行われた。
ふぐ刺しや唐揚げ、天ぷら、鍋といったフルコースが用意され、試食した伊木市長は「大山山麓の水のおかげか癖もなく、食感もよい。ぜひ多くの人に味わってもらいたい」と話した。
大山名水とらふぐを使った料理は同施設内の「レストランゆめ亭」で提供される。一部メニューには事前予約が必要。
一方、G・Bは今後、水温や水質、魚の状態などをリモートで監視するシステムを導入し、採算化と増産に向けた検証を進める。