華やかなファッション界の第一線で活躍しているデザイナーの中里唯馬さん。「パリ・オートクチュール(高級注文服)・コレクション」の公式ゲストデザイナーに2016年から選出されている。日本人では森英恵さん以来2人目の快挙という。その一方で、大量消費を促し環境に高い負荷をかけているとされる衣服産業に変革をもたらそうと、さまざまな努力と工夫を重ねてきた。
そんな中里さんが服の「最終到達点」を見てみようと、世界中で回収された古着が輸出され集まる国の一つ、ケニアを22年に訪れた。この旅から翌年のパリ・コレの制作プロセスまでを追ったドキュメンタリー映画「燃えるドレスを紡いで」(関根光才監督)が3月16日に公開される。自らが被写体となった日々に何を感じたのかを語ってもらった。
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―ケニアに大量の中古衣料が流れて大規模な「墓場」となっていることに驚きました。訪れた動機は何ですか?
衣服は人類が生きていくために必要なものですが、経済的合理性のために大量生産され安価になり、必要な数以上の服が日々作られています。それが最終的に世界中からたどり着く場所を、デザイナーとして見ておきたか...