人間には「複数の顔」がある。まれに「裏も表もない」という人もいるが、多くの人は意外な面、他人の印象とは異なる面がある。どれがウソでどれがホントというわけではない。そのことを感じさせるできごとがあった。
メジャーリーグ・ドジャースが大谷翔平選手の通訳を務める水原一平氏を解雇したと、アメリカの複数のメディアが報じ、同球団の広報担当もそれを認めたのだ。球団は「現時点でそれ以上のコメントはない」としているが、「ロサンゼルス・タイムズ」などは、水原氏がメジャーリーグの規約で禁じられている違法な賭博を行っていたとしており、また大谷選手の弁護士は、同選手が「大規模な窃盗」の被害に遭ったと発表している。水原氏の賭博の掛け金や損失の補填(ほてん)に大谷選手のお金を使われた、と考えるのが自然だろう。
「なぜそんなことに」といった理由はさらなる報道を待たなければわからないが、野球ファンは大きな衝撃を受けている。水原氏は日本ハムファイターズの外国人選手の通訳から渡米する大谷選手の専属通訳となり、まさに二人三脚でこれまで進んできた。昨年の第5回ワールド・ベースボール・クラシックでは侍ジャパンの通訳を務め、優勝...