【小川糸 一筆申し上げます】小ぶりがありがたい シナノピッコロの魅力

  •  小川糸

 私が移り住んだ信州は、リンゴの名産地です。冬になると、たくさんの種類のリンゴが店頭に並びます。

 その中でも特に好きなのは、シナノピッコロという品種です。「ゴールデンデリシャス」と「あかね」を掛け合わせた品種だそうで、もちろん味もおいしいのですが、最大の魅力はその大きさにあります。シナノピッコロは、その名の通り、小さいのです。

 大は小を兼ねる、と昔から当たり前のように言われてきました。確かに、一理あると思います。ただ、私はことリンゴや梨、柿などの果実に限っては、大きいものより小さいものの方がありがたいというのが正直なところです。

 というのも、私は今、ひとりで暮らしています。大家族でしたら、大きなリンゴをむいても、すぐに食べ切ってしまえるでしょう。けれどひとりですと、大きなリンゴはよっぽどの空腹時でない限り、食べきれません。

 その点、シナノピッコロのような小ぶりなサイズのリンゴですと、ひとりでも食べきれます。私は、リンゴを目でも楽しみたいので、買ったリンゴはよく窓辺の特等席に飾っておくのですが、ちょっと小腹がすいた時など、不意に手を伸ばして腹の虫をなだめるのにちょうどいいのです。小さいの...

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