江戸幕府が開いた学問の府や異国情緒あふれる教会。今も大学が多く立ち並ぶ東京・神田かいわいには英知を求めた多くの人々が集まってきた。歴史ある街を歩いた。(共同通信=中井陽)
JR御茶ノ水駅聖橋口から北へ徒歩2分、神田川のほとりに国の史跡「湯島聖堂」がある。1690年、5代将軍徳川綱吉が官学の府としたのが始まり。その後、規模が拡大され「昌平坂学問所」となった。
見事な筆跡で「入徳門」と記された額が掲げられた木造門をくぐると、自然に背筋が伸びる。その先にある「大成殿」は間口約20メートルの堂々とした入り母屋造り。孔子像が祭られているという。建物の脇には所狭しと合格祈願の絵馬が奉納してあった。
少々賢くなった気持ちでさらに北へ進み外国人観光客でにぎわう神田明神に参拝。境内手前の茶屋の軒先で甘酒を頂き、駅に引き返す。
聖橋を南に渡ると十字架を頂く青緑色のドーム状の屋根が見えた。1891年に完成した国の重要文化財「ニコライ堂(東京復活大聖堂)」だ。東方正教の伝道で来日したロシアの司祭、ニコライが設置し実施設計をジョサイア・コンドルが担当した。
中に入ると、その壮麗さに息をのむ。アーチ状の窓やステ...