「破獄」「ふぉん・しいほるとの娘」などの記録文学、歴史小説で知られる作家の吉村昭さん(1927~2006年)の書斎建物を移築・整備した「三鷹市吉村昭書斎」が東京都三鷹市に開館し、妻で作家の津村節子さんらがテープカットを行った。
津村さんが木造平屋の書斎と自筆原稿、蔵書、遺愛品を自宅のある三鷹市に寄贈した。細部まで忠実に再現した「書斎棟」、来館者が吉村さんと津村さんの著作を手に取って読める「交流棟」(新設)からなり、「破獄」の自筆原稿や眼鏡、愛用の万年筆なども展示されている。
津村さんとテープカットに臨んだ長男の吉村司さんは「書斎は父の頭脳の一部であり、やすらぎの場所でした。父が亡くなった後、母はこの書斎を文化施設として残したいと考えました。執筆していた当時のままに再現され、本当に感激しています」と述べた。
吉村さんは1966年に「星への旅」で太宰治賞を受賞。徹底した現地調査と資料収集を行ったことでも知られる。主な作品は他に「三陸海岸大津波」「関東大震災」など。
京王井の頭線井の頭公園駅から徒歩3分。入館料は交流棟が無料、書斎棟が100円。月曜と年末年始(12月29日~1月4日)は休館...