3月に発売された理想汽車の電気自動車(EV)「メガ」の売れ行きが、これまでのところ思わしくないようだ。
メガの実物を筆者が初めて見たのは昨秋のモーターショー。一目で「これは売れ行き好調とはいかないかもしれない」と思ったのを覚えている。理由はいろいろあるが、その一つが丸みを帯びたつるんとしたデザインだ。小売業界の知人にヒット商品を生み出すコツは「流行の半歩先を行くこと」と教えてもらったことがある。「半歩」というのがミソだそうで、流行に遅れては駄目だが、先を行き過ぎても世間がついてこられないということらしい。
中国自動車工業協会によると、中国の2023年新車販売台数のうち、EVは約669万台で、世界1位の規模。これは日本の23年の新車販売台数(約478万台、ガソリン車やEVなど全てを足した台数)を上回る水準だ。中国メーカーはこうした世界最大のEV市場で生き残るため、ときには奇抜とも思える戦略を選ぶことがあるのかもしれない。
メガのデザインはまるでSF映画にでも出てきそうな外観で、「流行の三歩先を行くクルマ」とでも言えようか。もし開発段階でデザインについてアドバイスを求められていたら、きっ...