【茂木健一郎のニュース探求 】人間の脳の可能性を信頼した民主主義ってすごい!

  •  茂木健一郎さん(撮影・徳丸篤史)
  •  米ホワイトハウスでの首脳会談後、共同記者会見する岸田文雄夫首相(左)とバイデン大統領=4月10日、ワシントン(共同)
  •  米連邦議会の上下両院合同会議で演説する岸田首相=4月11日、ワシントン(共同)
  •  得票率87・28%と圧勝し通算5選を決めたロシアのプーチン大統領=3月18日、モスクワ(ロイター=共同)
  •  福沢諭吉(国立国会図書館「近代日本人の肖像」から)

 先週、国賓待遇で米国を訪問した岸田文雄首相の、バイデン大統領との共同記者会見や米連邦議会での演説の様子を見ていて、「民主主義ってすごい!」と改めて思った。

 米国も日本も、それぞれ所定の手続きで選ばれた人が大統領になり、首相になる。そして、在任中は役割を果たす。やがて退任すれば「タダの人」だ。もちろん「元大統領」や「元首相」の肩書で社会的には注目されても、一国のリーダーとしての仕事は終わりである。そのような仕組みを実現している民主主義はすごい。

 世界では、ずっと同じ人がトップに立ったり、退任後に「院政」を敷いて支配し続けたりするケースもある。人類の歴史で、そのような事例はむしろ普通だった。

 バイデン大統領も岸田首相も、いずれは退任する。その後を引き継いだ人が、国のリーダーの役割を担うことになる。トップの交代が自然にできるようになったのは、人類の進歩だと言えるだろう。

 人間の脳の働きから見れば、ある役割を与えられてそれをこなす際には、前頭葉を中心とする神経活動が関与している。目の後ろ側辺りに位置する「眼窩(がんか)前頭皮質」などが機能する。民主主義は、役割を切り替える前頭葉の働きをフルに...

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