北の玄関口と言われた上野駅。ここを始発・終点とする在来線特急列車が激減して久しい。昔の上野駅は特急で大にぎわいだった。どこか懐かしいにおいがする1978年11月号の時刻表(交通公社刊)を開くと「はつかり」「やまびこ」「ひばり」「つばさ」「とき」「あさま」「白山」「ひたち」など東北、上・信越、常磐線に向かう多くの特急愛称名がずらりと並んでいる。どれも毎時発車時刻をそろえるなど利便性を売り物にした「エル特急」の異名があった。
国鉄カラーをまとった車両が上野駅を次々と発着する光景は壮観だった。学生だった私はわざわざ見に行ったり写真を撮ったりして一人悦に入っていた。夜になると今度は「はくつる」「ゆうづる」などの夜行寝台特急のオンパレード。北の玄関口としての貫禄を十分見せつけた。
今の上野駅は違う。一つの途中駅となり、在来線特急の始発・終着はどんどんなくなった。北に向かう新幹線が東京駅発着になったことや、「上野東京ライン」の開通で上野駅縦貫が整備されたことなどが理由だ。並行する新幹線のない常磐線を走る特急「ひたち」「ときわ」も品川駅発着となった。
そんな中、今も「草津・四万」「あかぎ」の2つの...