ずっと、マイカーというものを否定して生きてきました。18歳で実家を出てからは、長く東京で暮らし、40代半ば頃の数年間はベルリンで暮らしたりもしましたが、車とは無縁の生活でした。免許を取ろうと思ったことすらありません。都市で暮らす分に、車は必要ありませんので。どうしても車で移動せざるを得ない時だけ、タクシーのお世話になれば事足ります。車を所有するにはそれなりのお金がかかりますし、環境にも負担をかけるので、私はマイカーに対して、一切興味がありませんでした。
そんな私が、信州の森の中に山小屋を建て、そこに暮らすことを決めたのです。当然ながら、車がなくては生活が成り立ちません。
身近な人間は、必要な時だけタクシーに乗ればいいと言い放ちましたが、それは都会人の発想であって、田舎では全く現実的ではありません。私はすぐに教習所へと通い、40代後半で人生初の自動車運転免許証を取得しました。晴れて、ドライバーの仲間入りです。
車選びには、とても頭を悩ませました。当初、環境のことを考えて電気自動車にするつもりだったのですが、私が暮らす山小屋は標高1600mの高地にあり、極寒冷地と呼ばれるエリアです。冬は...