ソウル郊外の城南市にある桁違いに独創的な集合住宅「パンギョ・ハウジング」。2階のバルコニーは植物に囲まれた庭園のようで、お隣さん同士が自由に行き来できる共有デッキとして使われている。テーブルでお茶を飲んでいると、お隣さんが「これ、おいしいわよ」とデザートを一つ。ここでは隣人も家族のような存在に映る。
住人は「ここは建築家の山本理顕(やまもと・りけん)さんが設計した住宅よ」と自慢げに話す。山本氏は3月に建築界のノーベル賞とされる米プリツカー賞に選ばれた話題の人物。ここの建物は玄関までもがガラス張りで、開放的な空間になっているのが特徴だ。
山本氏が目指したのは、これまでの「一家族一住宅」に基づくような住宅の供給システムではなく、地域社会を誘導するような住宅造りだという。また、敷地は山の斜面にあって南北が開けており、外観もかなり大胆。これまであまり見たことのない集合住宅となっている。
2010年の分譲当時はプライバシーの侵害と非難され、買い手が見つからない時期もあった。それがいまや中古価格が2億円以上の高級物件になっている。人との関わりの大切さを実感できる集合住宅。お値段以上にプライスレス...