秘境駅。明確な定義はないが、人里離れた場所にあり、列車の本数が少なく到達が難しい駅のことである。ランク付けしたウェブサイトなどで、人気が集まる駅は各地に点在している。中には登山に近い山歩きをしたり、駅舎に宿泊したりするつわものもまだいるようだ。
昨年、徳島県三好市にあるJR四国の土讃線・坪尻(つぼじり)に立ち寄った。香川県境の山間部の急勾配を克服するため、列車がジグザグ(Z字状)に進行方向を変えながら登り降りするスイッチバックの駅として有名だ。川を埋め立てた谷底にあり、登山道のような山道を約15分かけて上がらないと、車が通る県道までたどり着けない。ただ、県道に出てさらに10分ほど歩くと、駅を見下ろせる展望台がある。坪尻駅の写真を使った「青春18きっぷ」ポスターと同じ構図で俯瞰(ふかん)撮影ができるのも、人気の理由になっている。
通過する普通列車も多く、1日に停車する列車は上下3本ずつしかない。このほか観光特急「四国まんなか千年ものがたり」が停車する。午後1時52分に到着した上り列車は、いったん後退して待避線に入り、再び進行方向を変えて去って行った。逆に下り列車はまず待避線に入ってから...