東京都知事選が始まり、50人以上が立候補を届け出たという。都知事とは何をする人なのか、と改めて考える。
都知事選はもちろん日本にある47都道府県のひとつの知事を決める選挙だが、東京の規模は破格だ。令和6年度の一般会計、特別会計、公営企業会計を合わせた都全体の予算規模は16兆5千億円を超え、スウェーデンやチェコの国家予算と並んでいる。
大企業や重要機関が集中する東京で、すべてをコントロールするのは不可能だ。産業については介入するよりも、自律的な競争、成長を妨げないようにすることが望まれる。
では、都知事の役割は何かといえば、やはりこの世界有数の大都市で生きにくくなってしまっている人たちをいかにして救い上げるか、となるのではないか。「生きにくい」といっても、子育て中の人、介護を担う人、病気や障害のある人、失業してしまった人など、さまざまなパターンがある。道を切り開く意欲や実力のある人は自力でチャンスをつかむはずだが、「自分ではどうにもならない」という人たちにこそ、行政が手を差しのべる必要がある。
東京には、実はこの「どうにもならない」とあえぐ人たちもたくさんいるのを、その地で長いこと精神...