【柳亭小痴楽 その男、ヤングマン】噺家修業あるある

  •  柳亭小痴楽

 われわれ落語家は、この人の弟子になりたい!と思った師匠の元へ押しかけ、どうにか入門が許され弟子にしてもらう。芸名をつけてもらい、そこから生涯をかけた噺家修業が始まる。師匠方も一人一人考え方が違うので教え方や教える内容、大事なことなどなど本当にまるっきり違うのだが、大体は入門が許されてから“見習い”という期間がある。師匠方によって期間に個人差があるが、それが明けると都内各所にある寄席での修業が始まる。私の所属している落語芸術協会においては、ここでようやく“前座”という身分だ。365日休みなし約4年間の前座修業のスタート! と言っても、前座は正確にはまだ噺家ではない。修業中の身であるので“噺家の卵”と言ったところ。着物も長着だけ。そして前座修業を終えると今度は“二つ目”という身分に昇進する。こうなると紋付、羽織、袴(はかま)の着用が許される。また自分の名前が入った手ぬぐいも作る。この手ぬぐいは、われわれの世界では名刺のような物である。独演会のほか、イベンターやお客さんからの依頼による仕事が許され、世間でようやく一人の“噺家”と名乗ることが許される。しかし、まだ一人前ではなく、何かしくじり...

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