日本橋小伝馬町と大伝馬町(東京都中央区)は、江戸時代に人や物資の運送を取り仕切る幕府の「伝馬役」が住んでいたことが町名の由来とされる。時代劇でおなじみの「伝馬町牢屋敷」があった場所を訪ねたり、老舗巡りを楽しんだりした。
かつて牢屋敷があったのは、東京メトロ日比谷線小伝馬町駅のすぐ近く。現在は十思公園などになっている。約260年の間に思想家吉田松陰、本草学者平賀源内、浄瑠璃や歌舞伎の題材になった八百屋お七ら数十万人が投獄された。
隣接の複合施設「十思スクエア」内では牢屋敷の模型を展示する。中央区教育委員会の仲光克顕さんが「旗本らが入牢する『揚座敷』、町人を収容した『大牢』、女性用の『女牢』など、牢が身分により厳格に分けられていた」と案内してくれた。重罪人を処刑した「首斬場」や自白を引き出すための「拷問蔵」などの史実も伝える。
江戸通りを南に越えて大伝馬町に入った。江戸時代からの商業地域で、木綿問屋や繊維問屋が栄えた。1718年創業のはけとブラシの専門店「江戸屋」は、旧日光・奥州街道の大伝馬本町通り沿いにある。
12代目店主浜田捷利さんは「近隣には染色屋もあり、その職人に道具としてはけを...