今年は第2次世界大戦の終結から80年。各地で周年のイベントや式典が催されており、アウシュビッツ強制収容所が解放された日に当たる1月27日には、ポーランド南部オシフィエンチムの収容所跡で追悼式典が開かれた。ドイツのシュタインマイヤー大統領は「私たちドイツ人は忘れない。記憶にも、責任にも終わりはない」と声明で強調したが、生存者の高齢化が進み、各地で紛争と分断は続く。
いかに記憶をつないでいくか。ナチス・ドイツによるユダヤ人大量虐殺(ホロコースト)を描いた映画は今も数多く作られており、さまざまな角度から人類史の惨劇を観客に提示する。「リアル・ペイン 心の旅」はその中でも一風変わったロードムービーとなっている。
米国に住むデビッド(ジェシー・アイゼンバーグ)とベンジー(キーラン・カルキン)はいとこ同士。兄弟同然に育った2人が、数年ぶりに顔を合わせる。ポーランド移民の祖母の遺言で、ポーランドのホロコースト遺跡を巡るツアーに参加し、祖母が暮らした家を訪れる予定だ。
ネット広告の仕事をしているデビッドと無職のベンジーは、性格も正反対。真面目一徹のデビッドに対し、ベンジーは陽気で自由奔放。ポーランド...