開館から55年を迎えた安来市古川町の足立美術館で周年記念特別展が開かれている。同館の二大コレクションで知られる横山大観(1868~1958年)と北大路魯山人(1883~1959年)の名作を同時に紹介。ほぼ同時代を生きた二大芸術家の軌跡が多くの来館者を魅了している。
「横山大観の軌跡」(5月31日まで)は初期~晩年の約70点を展示。中でも新収蔵品で、大観の絶筆となった「不二(ふじ)」は78年以来47年ぶりの公開で、ひときわ注目を集めている。
同作(縦46センチ、横57センチ)は57年10月、東京・三越池袋店(2009年閉店)の開店記念だった日本画展へ出品するため描いた。当時大観は既に病床にあり、渾身(こんしん)の力で仕上げたとされる。ガラスケース内ではなく壁掛けで展示され、金色の空に映える雄大な富士図を間近でじっくり鑑賞できる。
同館の織奥かおり学芸課長は「筆遣いから気力で描いたことが伝わってくる。生涯に1500点以上も富士を手がけてきた画家だけに、大観の思い入れが表れている」と話した。
このほか、富士の神々しい姿をびょうぶ(6曲1双)に描いた「神州第一峰(しんしゅうだいいっぽう)」(32年)、秋の展示で知られる大作「紅葉(こうよう)」(31年)、初期代表作の「無我」(1897年)など名作が公開され、来館者が足を止めて見入っている。
魯山人企画展(5月25日まで)は、同館コレクションから過去最大500点以上を展示。料理にも造詣が深かった魯山人の発案とされる板状の器「まな板皿」のほか、書や篆刻(てんこく)看板、絵画、漆芸品といった大小の作品を一挙に紹介。魯山人が出版した雑誌や遺影に使われた肖像写真などの貴重な資料もあり、魅力的な人物像に迫っている。織奥課長は「展示品を通じて魯山人が生み出した芸術の世界を堪能してもらいたい」と来館を呼びかけている。
午前9時~午後5時半。入館料2500円(大学2千円、高校千円、小・中学500円)。