歌人の枡野浩一さんが一度は諦めた芸人になるという夢をかなえるため、芸人養成所に入所した。挑戦する55歳の日々を、短歌を交えてつづる連載の第2回。
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〈経験のない人からのアドバイス あなたは耳をかたむけますか?〉
芸人の卵として活動していると、頼んでもいないのにアドバイスしてくれる人が続々登場する。
9月7日のライブで「正岡子規のモノマネ」をやった。説明の難しいネタなので、興味のある方はユーチューブ「タイタンの学校チャンネル」をご覧ください。その話をしたら「与謝野晶子のモノマネをすればいいのに」とアドバイスしてくれた人がいた。なぜ?
僕は自分の身体性(丸刈りで、横顔のシルエットが正岡子規に似ている)を利用してネタ作りをした。与謝野晶子には似ても似つかない。
これでも高校の国語の教科書に短歌が載っているくらいはキャリアのある歌人なので、僕に短歌のアドバイスをしてくる素人さんはいない。
まあ、お笑いに関しては何の実績もないし、アドバイスしたくなる気持ちも分からなくはない。
しかし考えてみてほしい。プロでもない人にアドバイスをされて、「わあ、勉強になりました」と感謝する人はいる...