【永浜利広 深読み経済ニュース】政策正常化「ゼロ回答」の日銀会合 1月決定に要注意

  •  永浜利広(第一生命経済研究所首席エコノミスト)

 先週の18、19日、年内最後となる日銀の金融政策決定会合が開かれました。そもそも今回の会合を巡っては、大規模緩和を続けてきた金融政策の早期正常化に動き出すとの期待が市場関係者の間で強まっていました。

 氷見野良三副総裁が6日の講演でマイナス金利政策解除の影響に関して詳細に言及したことや、翌7日に植田和男総裁が「年末から来年にかけてチャレンジングになる」と発言したことが要因です。

 しかし日銀は、短期の政策金利をマイナス0.1%に据え置いたのに加え、粘り強く現行緩和策を継続するといった金融政策の先行き指針(フォワードガイダンス)も変えませんでした。植田総裁の記者会見でも、2024年1月の次回会合に向けてマイナス金利解除の期待を市場に織り込ませるような目立った発言はなく、市場は肩透かしを食らう格好になりました。

 結果として、市場は日銀の発信を「ゼロ回答」と受け止め、長期金利が低下する一方で株価は大幅に上昇しました。それまで1ドル=140円台まで進むことがあった円相場も、日米金利差の縮小観測が後退したことから一時、144円台まで急落する展開となりました。

 ただ、植田総裁の会見を注意深く聞くと、...

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