【永浜利広 深読み経済ニュース】新NISA導入、家計の金融資産拡大なるか

  •  永浜利広(第一生命経済研究所首席エコノミスト)

 1月から、新しい少額投資非課税制度(NISA)が導入されました。従来との変更点は「非課税投資枠の拡大」「非課税期間の無期限化」「NISAの恒久化」の3点です。

 中でも非課税投資枠の拡大では、株式に投資できる「一般NISA」が120万円、投資信託を対象とする「つみたてNISA」が40万円としていた投資枠を、前者は「成長促進枠」に改称して240万円に、後者は「つみたて投資枠」に改称して120万円としました。その合計は、NISAのモデルとなった英国の制度「ISA」(アイサ)並みに拡大します。

 導入のきっかけは、岸田文雄首相が2022年5月にロンドンの金融街シティーで「新しい資本主義」について講演した際に「資産所得倍増プラン」を披露したことです。具体的には、NISAの抜本的拡充などにより家計貯蓄を資産運用に回して経済成長につなげるというものです。

 背景には、日本で2100兆円にも上る家計の金融資産の5割以上が現預金であり、米国の約1割、欧州の約3割に比べても割合が大きく、ロシアのウクライナ侵攻以降、急速に進んだインフレに対応できていないことがあります。株式保有世帯の割合も米国では5割を超えま...

残り 644 文字
このページは会員限定コンテンツです。
会員登録すると続きをご覧いただけます。
無料会員に登録する
会員プランを見る
会員登録済みの方
この機能はプレミアム会員限定です。
クリップした記事でチェック!
あなただけのクリップした記事が作れます。
プレミアム会員に登録する ログインの方はこちら

トップニュース

同じカテゴリーの記事