【テイクオフ~アジアの街角から】驚きのインドの高所得者層

  •  インドの首都ニューデリーにある高所得者層向けのショッピングモール
  •  多くの客でにぎわう韓国の首都ソウルの大手コーヒーチェーン

 イッツ・ビューティフル! 突然、助手席のインド人の友人が叫んだので、こちらは思わず急ブレーキを踏んだ。これが寝言なのだから、なおさら驚く。

 インドは中所得者層の成長ぶりが取り沙汰されるが、高所得者層はさらにびっくりさせられる。飲食店を営む友人は会うたびに展開するブランドが一つ増えているような勢いだ。最近は酪農にまで手を出した。寝言も次にオープンする店舗の仕上がりにほれぼれしていたのではないかと勘ぐってしまう。

 国際通貨基金(IMF)によると、インドは2021年の国内総生産(GDP)で旧宗主国の英国を抜き、米国、中国、日本、ドイツに次ぐ5位に付けた。23年7~9月期のGDPも前年同期比7・6%増と堅調。GDPのうち、個人消費は実に6割近くを占めている。

 この消費の力強さを味方につけ、彼の身の回りのスマホや腕時計、そして車はこの1年で次々とグレードアップした。日本でバブル後に社会人となった身からすると、彼のイケイケどんどんの事業拡張ペースは見ていて不安でたまらなくなる。目的地まではまだ遠い。彼の安眠がどうか、「ただ春の、夜の、夢のごとし」(平家物語)となりませぬよう。(インド)

 ▽奇妙な...

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