元日の夕方頃…新年早々、石川県能登地方を震源とするマグニチュード7・6(最大震度7)の大地震が発生した。
この時、私は東京・両国の寄席「お江戸両国亭」で、正月初席の高座に上がっていた。しゃべり始めてしばらくすると、お客さんの中で3人ほどが小声でしゃべり始め、小さく、何かジェスチャーのような動きをしだした。
他のお客さんもその人たちを不審に思い始めたので、集中できないなと思った私は噺を止めて、何があったのかを問うと、しゃべっていたお客さんの1人が「揺れている」。それからみんなで意識してみると、確かに揺れていた。しかもずいぶん長いこと揺れがおさまらない。落語どころではないので噺は中断し、様子を見ながら雑談で高座を降りた。
出番を終え、家に帰ってニュースを見てみると、テレビはどの局も今回の大地震の報道番組に切り替わっていた。しばらくして今回の地震に「令和6年能登半島地震」と名前が付けられた。
2011年3月11日に起きた東日本大震災の時は、私は東京におらず、西の方で前後の数日を過ごしていたので、東京での揺れを感じなかった。3日ほどたって家に帰り自分の部屋に入って、押し入れから荷物が落っこち...