台湾総統選が1月13日投開票され、親米派とされる民主進歩党(民進党)候補の頼清徳副総統が勝利しました。台湾は中国との政治統合が遠のき、経済的な関係が一段と悪化する可能性もあります。
国際的に重要なのは、米国と中国の関係悪化の懸念が強まることでしょう。というのも、これを機に台湾近海で中国人民解放軍の演習などが活発化すれば、台湾に派遣された米軍との間で突発的な事故が起こる恐れもあり、軍事衝突の危険性が高まるからです。
そもそも米中は昨年11月に首脳会談を開き、関係悪化を回避する動きを見せていました。背景には、中国としては不動産バブル崩壊の影響などに伴う国内経済の問題が最優先課題となっており、米国も外交面でウクライナやパレスチナ自治区ガザでの紛争に関わっていて、さらなる軍事的関与の負担を増やしたくないといった思惑があると推察されます。
とはいえ、米国は今年11月に大統領選を控えており、再選を目指すバイデン民主党政権が中国に対して譲歩するような姿勢を見せる可能性は低いでしょう。共和党候補指名争いで首位を独走するトランプ前大統領も政権運営時に対中制裁関税を発動しており、バイデン政権もそれを引き...