日銀は1月22、23日に開いた金融政策決定会合で、事前の市場予想通り、政策変更を見送りました。しかし、同時に公表された「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」や、会合後に開かれた植田和男総裁の記者会見は、短期金利をマイナス0.1%とするマイナス金利政策の解除が近づいたことを、市場に織り込ませるような内容となりました。
まず展望リポートでは、2025年度までの見通し期間の終盤にかけて、基調的なインフレ率が2%に向けて徐々に高まっていくとの記述に、「こうした見通しが実現する確度は引き続き、少しずつ高まっている」との一文が新たに加わりました。これは、物価安定目標の実現に向けて徐々に前進していると、日銀が評価していることを意味します。
また植田総裁は、政策判断に当たって重視する今春闘の賃上げについて、次回3月の決定会合までに「ある程度の情報が得られる」と語りました。23年12月の会見では、総裁自身の「チャレンジング」発言を機に市場で高まった、マイナス金利解除の観測を沈静化させる姿勢を示していましたが、今回の発言はスタンスが明らかに異なります。
このため、年明けの能登半島地震や23年11月分の...