【小川糸 一筆申し上げます】ドングリ会議 持ちつ持たれつ

  •  小川糸

 みなさん、「ドングリ会議」という言葉をご存じでしょうか? ブナの木は、自分たちが生き残っていくために、年ごとに会議を開いて、ドングリの量を調整していると言われていて、科学絵本も出ています。

 ファンタジーのようなお話ですが、豊作と凶作を不定期に繰り返すことにより、リスやネズミなどの捕食者の数をコントロールする繁殖戦略ではないかとの説が有力だそうです。

 毎年毎年ドングリを大量に落としていてはリスやネズミの数が増えすぎてしまうし、逆にドングリの数が少ないままでは、ブナ自身が再生されず、次世代へつないでいくことができません。

 リスやネズミは、ドングリを見つけると土に埋めて貯蔵します。その食べ残しの、もしくは食べるのを忘れられたドングリから芽が出て新しいブナが誕生し、森が維持されていくという仕組みです。

 つまり、ブナも、それを食べて生きるリスやネズミも、お互いに持ちつ持たれつの関係で、微妙なバランスを保ちながら自然が維持されていく。改めて、自然の摂理のすごさを感じます。

 この冬は、ドングリが不作だそうで、食べ物を求めて人里に下りてしまった熊が人間と遭遇し、人に危害を与えた結果、最終的に熊も殺さ...

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