自らの傷に向き合い映画にした三島有紀子監督インタビュー

新作「一月の声に歓びを刻め」で罪の意識問う

  •  三島有紀子監督(撮影・徳丸篤史)
  •  映画「一月の声に歓びを刻め」の一場面(C) bouquet garni films
  •  三島有紀子監督(撮影・徳丸篤史)
  •  映画「一月の声に歓びを刻め」の一場面(C) bouquet garni films
  •  三島有紀子監督(撮影・徳丸篤史)

 映画「幼な子われらに生まれ」などで高い評価を得てきた三島有紀子監督は、理不尽に直面しながらも生き抜く人間の姿を追究してきた。2月公開の最新作「一月の声に歓びを刻め」(前田敦子主演)は、自らの子ども時代に降りかかったある事件をモチーフにした。「性暴力と心の傷、そして罪の意識」をテーマに、生きようと歩み続ける人々の姿を追う。自らの傷を再び開きかねないパーソナルな出来事に向き合い、映画にした三島監督に思いを聞いた。

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 「おまえ、なんで北海道ばっかりで映画を撮っているんだよ。大阪出身だろ? なんで大阪で撮らないんだよ」―。当時手がけていたオムニバス映画の編集現場などでよく顔を合わせていた故青山真治監督に言われた。スマッシュヒットとなった映画「しあわせのパン」(2012年公開)、それに続く「ぶどうのなみだ」(14年)で、笑顔を失ったまま生きてきた主人公が再び笑顔を取り戻すまでを北海道を舞台に描き、話題となっていたころだ。「撮らない理由が私にはあります」と答えるにとどめた。故郷の北九州で撮り続けた青山監督は「映画監督として撮るべきなんじゃないか、そうしたら見えてくるも...

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