「まさに『箱男』の時代が来た」27年越し完成 ベルリン映画祭で世界初上映に感慨、石井岳龍監督、永瀬正敏、佐藤浩市

  •  レッドカーペットで写真撮影に応じる(左から)浅野忠信、永瀬正敏、石井岳龍監督、佐藤浩市=ベルリン(共同)
  •  映画「箱男」より<(C)2024 The Box Man Film partners>
  •  「箱男」の上映後に質疑応答で登壇した石井岳龍監督(右から2人目)ら=ベルリン(共同)
  •  記者会見する(左から)浅野忠信、永瀬正敏、佐藤浩市、石井岳龍監督=ベルリン(共同)

 【ベルリン共同】ドイツで開催中の第74回ベルリン国際映画祭で安部公房の小説が原作の「箱男」が上映され、現地のファンらを沸かせた。同作は、1997年にドイツとの合作で製作が決まったものの撮影直前に頓挫。歳月を経て完成した作品がドイツで世界初上映を迎えたことに、石井岳龍監督や俳優陣は特別な思いを抱いていた。

 「27年前のことは残念だったが、機が熟した気がする。今まさに『箱男』の時代が来た」。17日深夜から18日未明まで続いた上映後、温かい歓声と拍手を送った観客に向け、石井監督はそう話した。「安部公房さんが素晴らしいのは、情報化社会がどうなるか予言したこと。私たちは何重にも囲われた自分なりの情報、妄想の世界に生きているのだと思う」

 石井監督が「マジカル・ミステリーツアー」と表現した映画「箱男」は、段ボール箱をかぶり生きる「わたし」が、その存在を追う偽医者らと向き合う過程を通して、現実の不確かさを浮き彫りにする。安部本人から映画化の許諾を得て製作が決まったが、資金の問題などからドイツ・ハンブルクでの撮影前日に中止された。

 1997年にも出演予定で「わたし」を演じた永瀬正敏は、18日の記者会見...

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