インドでは7月ごろのモンスーン期(雨期)、10~11月ごろのヒンズー教の大祭「ディワリ」に絡む祭事シーズン、年末のクリスマス時期、年始とさまざまなセールイベントがある。
今年1月の年始セールで、ファストファッションブランドのウール混のパンツを買った。春を前に売りさばこうとどんどん値下げしたらしく、値札には最終価格のシールが何枚も重なっている。めくらずにはいられない。
1枚また1枚…5枚はがしたところで価格はルピーからユーロに切り替わった。ユーロを2枚めくると、お次は米ドル表示。結局、9枚目で出発点とおぼしき米市場での値札にたどり着いた。
欧州連合(EU)は2023年12月、環境負荷低減のため売れ残りの衣料品の廃棄を禁止する規制の導入で大筋合意した。適用は発効の2年後とされるため、メーカーの反廃棄戦略とはまだ言い切れない。
パンツの巡った旅路はまさにファストファッションのサプライチェーン(供給網)。米ドルからは9割オフで手にし、物流コストを思うと妙にぜいたくだが、欧米の冬、いや流行がインドには遅れて到達するのだろうか。なんとも示唆に富む1着だ。(インド)
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