美食をきめ細かに捉えるグルメジャーナリスト東龍さんが、今、東京で最も「旬」な7皿を紹介する連載、四皿目。
× ×
スペシャリテ(名物料理)は、一般的に華やかな料理となることが多い。しかし「ミシュランガイド東京2024」で一つ星を獲得した銀座にある「TROIS VISAGES(トワヴィサージュ)」では、シェフである国長亮平さんの下、他とは一線を画するスペシャリテが提供されている。
11皿のディナーコース(1万4300円)では、普段は脇役のエノキをあえて「主役」にした「極みエノキのソーセージ」が賞玩できる。
ミネラル感たっぷりの高知産「極みえのき」を野菜のブイヨンで2日間煮込んだ。つなぎのために豚ひき肉を少し加えているが、基本的にはエノキの上味だけで構成。添えられた濃厚な半熟卵を合わせれば、動物性の力強さが加味されて妙妙たる味わいに仕上がる。
2人前で、石づきを含め、極みえのき一塊を使用。やわらかい上部は粗めに、他は細かくカットし、「適材適所」の調理を施している。
福島県川俣町産の「川俣シャモ」を使ったコンソメスープも出色。提供時間を逆算して、2時間前から調理して最高の状態に仕上...