JR中央線の三鷹駅(東京都三鷹市)周辺を歩くと、幾つもの文学碑に出合う。北口の交番脇にある国木田独歩の詩碑から順に見て歩いた。(共同通信=松本泰樹)
独歩は小説「武蔵野」で知られる明治の文学者。碑には、彼の詩句「山林に自由存す」が、白樺派の作家武者小路実篤の書によって彫られ、独歩の次男で彫刻家の佐土哲二さんによる肖像レリーフもはめ込まれている。
南口の中央通りを進んでいくと、三鷹市ゆかりの文学者を記念する四つの碑が目に留まった。詩人三木露風が作詞した童謡から名づけられた「赤とんぼの碑」のモチーフは少女と幼い子。
地球儀をかたどる実篤の像には、戯曲の題名「人間萬歳」が記されている。山本有三の碑は少年2人の像を台上に据え、台座には小説「生きとし生けるもの」に寄せた作者の言葉を掲げる。
太宰治と評論家亀井勝一郎の交遊をテーマに作られた碑も立つ。太宰の小説「斜陽」のページを開いたユニークな形が目を引き、勝一郎の文章「三鷹村下連雀」も添えられている。
太宰の墓がある禅林寺は、駅から歩いて10分ほどだ。墓前に花や酒などがたくさん供えられていて、衰えることのない人気を実感。その斜め向かいには森鴎外...