東京都世田谷区の豪徳寺は、彦根藩主、井伊家の江戸における菩提寺。桜田門外の変で暗殺された大老、井伊直弼ら、歴代藩主の墓が並ぶ古刹は、招き猫発祥の地として多くの観光客でにぎわっている。(共同通信=近藤誠)
2代藩主の直孝はタカ狩りの帰り道、猫に手招きされて小さな寺に立ち寄った。雷雨になったが、猫のおかげで難を逃れ、和尚との話も楽しめたことに感動。荒れていた寺の再興に尽力したと伝えられている。
豪徳寺の招き猫は小判を持たず右手を上げているのが特徴で、社務所で置物を購入できる。招き猫の奉納所は絶好のフォトスポットで、大小の猫が隙間なく並んでいる様子に圧倒される。
近年は訪日客にも人気で、境内にはさまざまな言語が飛び交う。猫が描かれた絵馬を裏返せば、日本語で書かれた願い事を探す方が難しいぐらいだ。
豪徳寺の最寄り駅は、東急世田谷線の宮の坂駅。世田谷線は、車内外に招き猫をあしらった電車を運行している。つり革が招き猫をかたどっていたり、床面に猫の足跡が施されていたり、見ても乗っても楽しい。
豪徳寺のすぐ北側に、美しい水色の洋館「旧尾崎テオドラ邸」がある。「憲政の神様」と称された尾崎行雄の妻テオド...