5万石の小藩を舞台に、仇(あだ)討ちを果たせずにいる武士と仇(かたき)の息子である少年が出会い、動き出す人間模様を描いた武家小説「春かずら」が、29日から本紙で始まる。作者の澤田瞳子さんに、連載への思いなどを語ってもらった。
新聞を購読する方々には歴史小説、時代小説の愛読者が少なくないそうです。このたび、日本海新聞の小説欄を担当させていただくことになりました。
史実から物語を紡ぐのが「歴史小説」、過去のある時代を舞台にしてその風俗を踏まえつつ、架空の物語を創り上げるのが「時代小説」と、私は言葉を使い分けています。そしてこれまでは歴史小説を多く書いてきたのですが、今回の連載では時代小説、中でも武家小説と言われるジャンルに初めて挑戦します。