米共和党のトランプ前大統領によるハリス副大統領への攻撃が止まらない。言うまでもないことだが、ハリス氏は民主党の大統領候補指名を確実にしている。
7月31日にトランプ氏は、「ハリス氏はずっとインド系だとアピールしていた。数年前に突然黒人になって、今では黒人と思われたがっている」といった趣旨の発言をした。インド系移民の母親とジャマイカ系の父親を持つハリス氏にとって、これは誹謗(ひぼう)中傷、差別であろう。
ハリス氏はこれまで、自らの複雑な出自を隠そうとしてこなかった。それにもかかわらず、相手候補側から出自を取りざたされ、さらに都合よく使い分けているように言われるのは、どれほど心が痛むことか。また、同じように多様な出自を持つ人たちも、自分が誹謗中傷されたようなダメージを受けるだろうと思われる。
候補者どうしが激しく批判し合うのはつきもの、という意見もあるかもしれないが、批判と誹謗中傷や差別は違う。批判とは、ある表現や言動などについて、根拠をはっきりさせて問題点や同意できいない点を指摘することだ。
一方、誹謗中傷とは、最初から相手を傷つけ、おとしめることを目的とした悪口であり、さらに差別は、...