柔道の個人戦が終わった。連日、勝ち負けよりも判定に関する話題が多かった気がする。問題の一つ一つを論じる気はないが、「ゴールデンスコア方式」の延長戦は何とかならないのか。果てしない千本ノックのような我慢比べは、いつも見ていてつらい。そして精根尽き果てた選手が次戦で敗れると、切なくなってくる。
8月2日の男子100キロ超級、斉藤立の準決勝敗戦も、時計が止まっている時間を含めれば優に10分以上も戦い続けた準々決勝の影響があったように思う。(共同通信=尾崎透)
192センチ、165キロの巨体に理詰めで切れ味ある投げ技。中学時代から次代のエースと言われ、順調に成長して五輪まで到達した。期待に応えたのは、1984年ロサンゼルス、1988年ソウルと五輪2連覇を果たした斉藤仁の息子という血筋以上に、本人の努力が大きかった。
迎えた大舞台。初戦、連覇を狙ったクルパレク(チェコ)相手にがっちり組む姿は、全盛期の山下泰裕や父をほうふつとさせる堂々たるものだった。
この難敵を鮮やかな内股で投げ切ると、準々決勝は2022年の世界選手権で敗れたグランダ(キューバ)。果てしない消耗戦の末に勝ったものの、準決勝の相...