サッカー女子の「なでしこジャパン」は、またも二つの壁を破れなかった。東京五輪と昨年の女子ワールドカップ(W杯)に続く「準々決勝の壁」。そして過去1勝のみで8分け(PK戦を含む)30敗という「米国の壁」だ。準々決勝は組織的な守備と出足の良さで米国に対抗したが、点を取れなければ勝ちはない。あと15分余で0―0のままPK戦突入かという延長前半の追加タイムに失点し、メダルの望みもついえた。(共同通信=名取裕樹)
▽前線から最終ラインまで連動
日本はワントップの田中美南から中盤、そして最終ラインまでが連動しての組織的な守りで、相手の前線へのパスを巧みに遮断した。くさびのパスが入っても主将の熊谷紗希が統率する3バックが前に出てはね返すなど、コンパクトな陣形を保った。
相手は明らかに攻めあぐみ、何度もDFやGKにパスを戻し、攻撃のつくり直しを余儀なくされた。ボール支配率は圧倒しても、前半に日本を崩してのシュートは30分の1本だけ。むしろ日本は左サイドのFWでプレーした清家貴子を起点に、35分には田中が左からゴール正面に持ち出してシュート。これはGKの正面を突き、直後にも清家のクロスから、最後は右ウ...