7月28日、午前8時。選手たちがついにセーヌ川で泳ぐ―、はずだった。トライアスロンのスイム会場での公式練習初日。発着点のアレクサンドル3世橋に出向くと、運営に関わる船が行き来するだけで、選手の姿はない。もしかして…。嫌な予感は当たった。前日までの雨の影響で水質が悪化し、練習が中止となったのだ。懸念されていた「水質問題」がヒートアップし、検査結果に気をもむ日々が始まった。(共同通信=菊浦佑介)
水質悪化で101年前に遊泳禁止となったセーヌ川での競技は、パリ五輪の目玉の一つ。パリ市は大会を契機とした浄化に着手し、汚染の原因である雨水の流入を防ごうと、巨大な貯水池を設けるなど対策を重ねてきた。
投じた費用は14億ユーロ(約2200億円)。しかし、開会式があった7月26日から降った雨の影響で、水質が悪化。選手が初めて泳ぐ予定だった公式練習がなくなった。
翌日も公式練習が予定され、30日にはいよいよ男子の競技が行われるというスケジュール。こうなると、いつ選手が泳げるのかが焦点となる。この確認が、思っていた以上に厄介だった。
国際統括団体の世界トライアスロンは、夜間に採取した水をすぐに検査。大腸...