レスリング男子グレコローマンスタイル60キロ級で、東京五輪銀メダリストの文田健一郎が7日、中国選手を破って念願の頂点に立った。地味な種目のグレコローマンでは、1984年ロサンゼルス五輪以来40年ぶりの金メダル。「今まで取ってきたどのメダルより重かった」と喜びを語った文田の勝利の軌跡を追いながら、この競技の在り方について考えた。(船原勝英)
曹利国との決勝は、文田の総合力が上回って危なげなかった。序盤の守勢を守り切り、第1ピリオドはパーテレポジションからローリングで返して2点を加えて3―0とリード。第2ピリオドに1点を返されたが、隙を見せずに4―1で逃げ切った。
勝利が決まると、「どうだ」という表情で会場を見回し、表彰台へはジャンプして上った。念願の金メダルを首に掛け、晴れやかな表情でコメントした「今までとってきたどのメダルより重かった」の言葉に実感が込められていた。
実は、最大のヤマ場は、2023年の世界選手権決勝で敗れたシャルシェンベコフ(キルギス)との6日の準決勝だった。
0―1とリードされた第2ピリオドの45秒に左後方への鮮やかな反り投げを決めて4―1と逆転。その後の相手の...