パリ五輪のボクシングで起きた女子2選手の性別を巡る論争。背景には国際オリンピック委員会(IOC)と、昨年6月にIOCから統括団体としての承認を取り消された国際ボクシング協会(IBA)の対立がある。さらにその背後には、国としての参加を禁止されたロシアの影もちらつく。(共同通信=小林伸輔)
▽衝撃の幕切れ
1日に行われた66キロ級の2回戦は衝撃的な幕切れだった。イマネ・ヘリフ(アルジェリア)と対戦したアンジェラ・カリニ(イタリア)は、パンチを受けるとわずか46秒で闘うのをやめた。涙を流してマットに膝をつき、試合後の握手もしなかった。「鼻に強い痛みを感じた。自分の命を守らなければならなかった」と振り返った。
この試合の数日前から、ヘリフと57キロ級の林郁テイ(台湾)は性別疑惑のターゲットになっていた。IBAが主催した昨年3月の世界選手権の性別適格検査で不合格となったことが大きく報じられたからだ。英メディアによると、イタリアのメローニ首相は「男性の遺伝的特徴を持つ選手が女子種目に参加すべきではない。対等に闘えることが重要だ」とIOCの対応を批判した。
▽IOCが競技を運営
IOCとIBAの対...