観衆に近づいた「街に出て行く五輪」、市民に親しみ【五輪コラム】

残念だったパリ市長のセーヌ川のパフォーマンス

  •  レスリング男子フリー74キロ級で銀メダルを獲得し観客席で日の丸を掲げる高谷大地=パリ(共同)
  •  女子やり投げで金メダルを獲得し、観客席を背に自撮りする北口榛花=パリ郊外(共同)
  •  レスリング女子53キロ級で優勝し、観客とタッチを交わす藤波朱理=パリ(共同)
  •  表彰式を終えたメダリストとタッチを交わすことができる競泳会場「ラデファンス・アリーナ」=パリ郊外(共同)
  •  バドミントン女子ダブルス銅メダルを胸に、観客とタッチする志田千陽。右端は松山奈未=パリ(共同)

 パリ五輪の大会組織委員会は閉会式前日に、開幕からの観戦チケット販売が950万枚を超え、五輪史上最多の観客を集めた大会となったと発表した。セーヌ川に数多くの大型ボートを浮かべ、各国選手団が乗り込んで入場行進した開会式のユニークな演出のコンセプトが、各競技会場の観客席の配置にも生かされていたように感じた。それは、五輪競技自体が観衆に、そして市民に近づいていこうとする姿勢に支えられたものだったのだろう。(竹内浩)

 

 ▽汗を感じる距離感

 室内の競技場をはじめ、多くのアリーナは一般的な「斜め上から観戦」すること以上に、実施されている競技とほぼ同じ低いレベルで、競技に接近して「横から観戦」できるよう意図した観客席のしつらえが多かった。

 優勝を決めた、あるいはメダル獲得を決定した選手が、すぐそばの観客席の最前列で観戦していた家族のもとに駆け寄り、低いフェンス越しに抱き合い、喜びの涙を共にする姿が連日見られた。選手の感動を家族が共有するためには、熱戦を繰り広げる選手の息遣い、ほとばしる汗を感じるほど近くにいることは、とても大きな要素だ。

 演者とファンの距離が物理的に近ければ、一体感が高まりやすいと言...

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