強豪中国に重圧をかけ続け、玉井は歴史的銀メダルを手にした【五輪コラム】

「原始的」環境でも好演技連発、飛び込み日本初の表彰台

  •  高飛び込みで銀メダルを獲得した玉井陸斗(左)と抱き合う馬淵崇英コーチ=パリ郊外(共同)
  •  銀メダルを獲得し、馬淵崇英コーチ(右)と写真に納まる玉井陸斗=パリ郊外(共同)
  •  決勝で演技する玉井陸斗=パリ郊外(共同)
  •  銀メダルを獲得した玉井陸斗と優勝した中国の曹縁(右)=パリ郊外(共同)
  •  決勝で演技する玉井陸斗の連続合成写真=パリ郊外(共同)

 8月10日は、飛び込み界にとって記念すべき日となった。男子高飛び込みで玉井陸斗(JSS宝塚)が、弱冠17歳にして日本勢で初となる銀メダルを獲得したのだ。日本が最初に飛び込みに出場した1920年アントワープ大会から1世紀以上もの間、先人が届かなかった夢。しかも強豪中国の一角を崩し、途中はトップに立つなど東京五輪覇者の曹縁を追い詰める試合内容となるとは、関係者も予想していない展開となった。日本と中国の環境の違いを考えると、快挙の重みはまた違ってくる。(共同通信=門馬佐和子)

 ▽計算通りの決勝

 「もうベスト。陸斗がさっと飛んだら、中国はプレッシャーで飛びにくくなる。計算通り」。10日の準決勝を玉井が3位で終えたことに、取材エリアに現れた馬淵崇英コーチが興奮気味に語った。決勝は1、2位で通過した中国選手の前に飛ぶ順番になる。玉井がいい演技をみせれば、当然その後の中国選手には重圧がかかる上に、より良い演技をしなければ点数が出ない。コーチによるとあえて「3、4位を狙った」作戦だったようだ。

 この通りと言うべきか、決勝の2回目で玉井が完璧な入水を決めて95・40点をたたき出した直後、2月の世界選手...

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