【清田隆之 NOが言えない俺たち】なぜあんなに不機嫌だったのか 口を開かぬ父たちの「分からなさ」

  •  清田隆之さん
  •  吉田貴司著『40歳になって考えた 父親が40歳だった時のこと』(幻冬舎)

 男性にとって「父親」とはどういう存在なのか─。最近、吉田貴司さんの『40歳になって考えた 父親が40歳だった時のこと』(幻冬舎)というエッセー漫画を読んだこともあり、この問題がとても気になっています。

 私の父は穏やかでお人よし、子どもの頃からほとんど怒られたこともなければ、不機嫌になっている姿を見た記憶もありません。なので個人的に父との関係で悩んだことはないのですが、男性たちから見聞きしてきた「傷つき体験」の中には父親絡みのエピソードが一定数あって、男性同士の関係としての「父と息子」は気になるテーマでした。

 著者の実体験がベースになっているこの漫画は、タイトルの通り、40歳になり、自らも10歳の息子を育てる吉田さんが、幼少期から見てきた父親の姿を思い出しながら描いた父と子の物語です。

 「ずっと父親が嫌いだった」と語る吉田さんの目に映るのは、いつも不機嫌で、暴力的で、話が通じず、独りよがりで、計画性がなく、人間関係も狭い…、そんな姿です。

 怒鳴る父、テーブルをたたく父、電話機を壁に投げつける父。さらには母に暴力を振るうなど、著者はいわゆる“面前DV”の被害者でもあります。そんな父に対し...

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