昨年の今ごろは、「裏金議員」という単語は存在すらしなかった。それが今では衆議院選挙の最大の注目点となっている。それじたい異様なことではないだろうか。
今月27日に投開票を迎える衆院選。最大の争点は「政治とカネ」だ。立候補した裏金議員たちの結果に注目が集まる。
この「裏金議員」という単語は、新聞の見出しやテレビニュースのタイトルなどでもあたりまえのように使われ、「自民党の派閥の政治資金パーティをめぐり、派閥からキックバックを受けたり、パーティー収入の一部を中抜き・プールしたりして、政治資金報告書に記載していなかった国会議員」という説明がなくても、多くの人がなんのことだかわかっている。これが明るみに出るきっかけになったのは「しんぶん赤旗」や朝日新聞のスクープだが、今やすっかり日常用語のようになってしまったわけだ。
それにしても、仮にも国政を任されている人たちが「裏金議員」と呼ばれるとは、これほど情けないことはあろうか。「あの裏金議員は当選するだろうか」という言い方じたい、大きな問題をはらんでいる。本来、国会議員の政治資金は厳格なチェックを受け高い透明性を求められるべきで、「裏金」などとは...