政治への国民の不信。民主主義の社会において、これほど深刻な問題はない。総選挙は与党の過半数割れという結果に終わったが、それで政治への信頼が戻ったとはとても言えない状況だ。投票率も低く、政治に無関心な層以外に「投票してもどうせ好き勝手やられるだけだ」とあきらめている人たちもいたのではないか、と推察される。
自民党内の派閥ごとで考えると、とくに旧安倍派の議席は、昨年12月1日時点の59から20に激減した。比例重複立候補が認められず落選した議員はSNSで「普通に選挙をしていれば、今回も私は当選していました。(中略)安倍派潰(つぶ)し高市派潰しと言わざるを得ません」と不満をあらわにしたが、そうなったのは、その前議員の政治資金収支報告書に不記載があったからだ。国民の信頼を損ねたことに関しては触れず、被害者のように振る舞うその姿勢が問題なのだとなぜ気づけないのだろうか。
野党は首相指名をめぐって活発な動きを見せ、今回、議席を伸ばしキャスチングボートを握る国民民主党の動きに注目が集まっている。そういった政治的振る舞いは人の目を奪いがちだが、それと国民の政治への信頼回復は別だ。
これでは、政権が行き...