変化の時代 鳥取の現場から 第3部「よりどころ」(5)ギャンブル依存症

助けることが助かる道 体験共有家族の会

  • ギャンブル依存症患者の家族を抱える人たちにとって、家族の会はなくてはならない大切な場所となっている=9月24日、米子市公会堂(画像を一部加工しています)

 「行く場所はここしかない」。9月の日曜日の朝、米子市公会堂で会合の準備を進める竹田佳美さん(55)=鳥取県西部在住、仮名=は、集まった仲間を見渡し、改めて確信した。全国ギャンブル依存症家族の会鳥取の会合。身内にギャンブラーを抱えていると、他人にそのことを知られるのが怖くて孤立してしまう。自分を責める。あり地獄のような日々。竹田さんは家族の会に通うようになり「人を助けることで、自分も助かる」ことを知った。

 「息子が3回の窃盗で実刑判決を受けた」「借金をさせないために自己破産させるしかなかった」-。会合では重い体験談が語られる。まずは体験を共有することが回復への第一歩となるからだ。「子どもが依存症になったことで自分を責めた。でも家族の会で病気だから親の責任ではないと教えられ、安心できた」と語る。

 同会鳥取は2020年設立。初年度は12回開催し22家族78人の参加だったが、23年度は9月末時点で9回開催し、既に55家族127人が参加した。徐々にその活動が知られるようになり、参加者は増え続けている。

 ただ、家族の会につながることは容易ではない。「家族がギャンブル依存症であることを周囲に知られるのが怖い」との思いが障壁となる。「もう一回借金の尻拭いをすれば何とかなるんじゃないか」と内にこもり、家族の会を訪れるころには切羽詰まった状況に追い込まれているケースがほとんどだ。

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