未来志向の平和教育

  •  尾木直樹
  •  79年前の8月6日、広島に原爆を投下した米軍爆撃機から撮影されたきのこ雲(米国立公文書館所蔵・共同)
  •  79年前の8月9日、長崎に投下された原爆のきのこ雲(提供写真)
  •  79年前の8月15日、昭和天皇の「玉音放送」で終戦を知り、皇居前でひざまずく人々
  •  佐々木禎子さん。広島で2歳の時に被爆、回復を願い病床で鶴を折り続け、10年後に白血病で亡くなった悲話が広まり、折り鶴は平和や反核のシンボルに(遺族提供)

 東京でも連日30度以上の真夏日が続き、最高気温が40度に迫る日もあるなど、文字通り“地球沸騰”寸前の暑さです。

 8月といえば、6日は広島原爆の日、9日は長崎原爆の日、そして15日は終戦記念日。テレビなどで戦争を扱う番組が増え、その残酷さや悲惨さに、殊更強く思いをはせる季節です。学校でも、それらの日に合わせて平和教育が行われてきました。

 ▽広島への修学旅行

 私が東京都の公立中学の教員だった30~40年ほど前、修学旅行先は京都・奈良と決まっていたものです。ある年のこと、担任を受け持った2年生に「修学旅行で行ってみたい場所」をアンケートで尋ねると、驚いたことに「広島」との回答が多かったのです。

 当時は1991年に湾岸戦争が開始された衝撃もあり、平和について真剣に考えたいという生徒たちの思いに応えようと、私たち教師は、区の教育委員会の反対をはねのけ、広島・京都への修学旅行を彼ら、彼女らと一緒に企画し、保護者の力強い支援も得て敢行することになりました。生徒は実行委員会を立ち上げ、50回にも及ぶ事前学習や実行委の会合で、さまざまなアイデアを出しました。

 平和記念公園で実施した「セレモニー」では、...

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