首都ニューデリーにあるインディラ・ガンジー国際空港の国内線保安(手荷物)検査の列で、A4サイズの額を抱く若者が数人いた。ちらりのぞくと大学の卒業証書だった。インドでは夏に卒業の大学が多い。家族が待つふるさとに錦を飾る、そんな心持ちなのかもしれない。
インドの大学進学率は約3割と、日本の半分ほどだ。「村で初の大学進学者となり、総出で送り出された学生もいる」とインドの大学教授に聞いたことがある。一方で、全く異なる教育事情もある。
富裕層の家庭では、IB(国際バカロレア)やIGCSE(中等教育を修了した証明の国際資格)といった海外の大学進学を想定したカリキュラムを組む学校に子どもを通わせ、大半は米英豪に向かう。その先の現地就職で先進国水準の人生設計を狙う。
在インドの米国大使館によると、同大使館と国内各地の領事館が2023年にインド人に発給した査証(ビザ)は過去最大の140万件に達した。このうち留学生など学生向けビザは14万件以上と、3年連続で過去最多を更新。米国内の留学生の4分の1以上がインド人学生という。
インドの18~23歳の人口は約1億5000万人。世帯所得の向上に伴って進学率が高...