ここ数年で当地の飲食業界の勢力図が変わった。華人系が人口の7割超を占めるため、もともと中華料理店は多かったが、最近は中国本土発の店舗が存在感を増している。東南アジア市場進出の足がかりとして、シンガポールに出店する動きが活発化している。各社はブランドの評価や知名度を高めた上で、域内の他国へ出店していく戦略のようだ。
シンガポールの調査会社モメンタム・ワークスによると、同国には2024年6月末時点で中国の飲食事業者32社が進出、計184店舗を展開している。
中国発の人気デザート・飲料店「ミーシュエ(蜜雪氷城)」が、「ソフトクリーム1Sドル」(シンガポールドル、約109円)という看板を掲げているのを初めて見た時は衝撃を受けた。味は普通だがお得感が半端ではない。
中国の四川料理店「太二」に足を運んだ時は、本格的な酸菜魚(魚の煮込み料理)の味にグルメの友人もうなっていた。茶系飲料チェーン店「奈雪的茶」も中国発だ。以前の名称は日本語風の「奈雪の茶」。知人から「奈雪は日本語でどんな意味か」と聞かれて、戸惑ったのを思い出す。その時は中国ブランドと知らず、うまく説明できなかった。
どのブランドがどの国...